General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

ウイルス

COVID-19診断におけるPCRの偽陰性

COVID-19診断におけるPCRの偽陰性 Variation in False-Negative Rate of Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction–Based SARS-CoV-2 Tests by Time Since Exposure. https://doi.org/10.7326/M20-1495. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M2…

SARS-CoV-2の安定性(viabilityはいつまで?)とエアロゾルについて

SARS-CoV-2の安定性(viabilityはいつまで?)とエアロゾルについて まとめ ・SARS-CoV-2の環境表面でのviabilityの期間は、紙・ティッシュペーパー・ダンボールは24-48時間以内、木・布は2日以内、ガラスは4日以内、ステンレス・プラスティックは3-7日以内…

COVID-19へのヒドロキシクロロキンの効果を検討した研究

COVID-19へのヒドロキシクロロキンの効果を検討した研究 重要な点 ・各研究のlimitationは多いが、効果は期待できない可能性が高い ・アジスロマイシンと併用すると、QT延長・心停止が増加する可能性がある 1. Hydroxychloroquine in patients with mainly m…

COVID-19の診断ガイドライン(IDSA 2020)

COVID-19の診断ガイドライン(IDSA 2020) https://www.idsociety.org/practice-guideline/covid-19-guideline-diagnostics/ 推奨1:COVID-19の臨床的疑いが低い場合であっても、COVID-19が発生している疑いのあるcommunityの症状のある患者に対して、SARS-C…

不活化VZVワクチン(Shingrix)の血液腫瘍患者への効果

【不活化VZVワクチンの血液腫瘍患者への効果:液性免疫指標の反応良好】 ・Shingrixの効果を検討したRCT ・対象は、血液悪性腫瘍患者 ・placeboと比較、1-2か月間隔で2回接種 ・液性免疫の指標は良好に反応:80% ※リツキシマブを使用しているCLLとNHLを除く …

インフルエンザワクチンのよい適応は15歳未満!!

日本で研究。 15歳未満にインフルエンザワクチンを接種することは、現在の高齢者を主にtargetとした接種戦略より、罹患率の減少・費用対効果において、優れていることが示された。 Modelling the optimal target age group for seasonal influenza vaccinati…

HPV DNAワクチンの効果(CIN3の患者を対象)

【HPV DNAワクチン】 ガーダシルやサーバリックスと異なり、感染・CIN発症後の接種(治療?)です。 ・第2相試験 ・HPV16/18によるCIN3を対象 ・RCT、1mg vs 4mgを比較 ・ワクチン接種:0, 4w, 12w(筋注) ・Primary endpoint:CIN1以下へのregression ・1…

インフルエンザUpDate

【インフルエンザUpDate 2019/2020シーズン】 外部のサイトですが、スライドをアップしました。興味ある方はぜひ。 https://slide.antaa.jp/article/view/c8d88383a5e34201

ロタウイルスワクチンの定期接種化

ロタウイルスワクチンの定期接種化 ・2020年10月から開始予定 ・標準的には、生後2か月から接種開始 ・ロタテック3回、ロタリックス2回(どちらも4週間以上の間隔) ・原則同じ製剤を使用する(ただし互換性はあると考えられている) ・腸重積が増加する可能…

インフルエンザワクチン株 2019-2020

インフルエンザワクチン株 2019-2020 (1)WHOの推奨 21 February 2019 (updated on 21 March 2019) It is recommended that egg based quadrivalent vaccines for use in the 2019-2020 northern hemisphere influenza season contain the following: A/Bri…

自家造血幹細胞移植後のrecombinant zoster vaccineの効果(シングリックス)

【自家造血幹細胞移植後の帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)の効果は68%】 【背景】 自家造血幹細胞移植後のVZV再活性化は多く、6-12か月程度抗ウイルス薬の予防内服が行われている(多くの国では、アシクロビル1回800mg 1日2回、日本では1回200mg 1日1回…

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言について:急性気管支炎編

【「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」への感想第3弾】 原因微生物は、基礎疾患や合併症の有無で分けて考える必要がある、というところはよいと思います。 基礎疾患がない場合または軽微である場合、基本的に急性気管支炎に対する抗菌薬は不要であり…

HIV:ドルテグラビル耐性ウイルスの恐怖

【HIV:ドルテグラビル耐性ウイルスの恐怖】 初発HIV/AIDSの患者(viral load高く、CD4リンパ球数は22)を、ツルバダとドルテグラビルで治療開始。同時に播種性結核をリファブチンを含めたレジメンで治療。最初の3週間の治療でviral loadは良好に低下したが…

バリキサ錠は原則粉砕してはいけない

【バリキサ錠は原則粉砕してはいけない】 バルガンシクロビル(商品名:バリキサ、1錠450mg)は、錠剤とドライシロップがあり、経管投与や透析患者で使用する場合(透析患者へのバリキサの使用は一般的には推奨されていませんが、透析後200mg投与 週3回、で…

造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirのCMV感染症に対する予防効果

【造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirの効果の検討】 CMV-seropositiveの造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirの死亡率への影響を検討した研究についてです。全死亡率を改善する可能性が示されたとしているが、実際には48週時点での死亡…

HIV感染症の曝露前予防:USPSTFの推奨

USPSTFは、HIV感染へのhigh risk者に対して、TDF/FTCによる曝露前予防(preexposure prophylaxis:PrEP)を推奨した。2017年にはCDCがすでに同様の推奨を発表している。 米国は現在約110万人のHIV患者が存在している。また、2017年の新規発症者は38281人であ…

血液悪性腫瘍患者(主に造血幹細胞移植後)におけるCMV感染症の診療ガイドライン

【血液悪性腫瘍患者におけるCMV感染症診療ガイドライン2019】 (1)重要な点 ・HSCT後のCMV diseaseは臨床研究では2-3%だが、real-worldでは5-10% ・臍帯血移植の場合、CMV再活性化のriskは高く、腫瘍の再発以外での死亡率が上昇 ・HSCT後100日以内のCMV dis…

DRCでの黄熱病outbreak時の黄熱ワクチン(20% dose)の効果

【黄熱ワクチンの20% dose接種は効果が98%:コンゴ民主共和国でのoutbreak】 背景:2016年のDRCとアンゴラでの黄熱病のoutbreakによって、世界的な黄熱ワクチン不足が起こった。そのため、標準投与量の1/5(0.1ml)に減量した黄熱ワクチンを、DPCのキンシャ…

TAF/FTC+DTGの効果は、これまでの標準治療と同等だが、体重増加に注意が必要

【TAF/FTC+DTGの効果は、これまでの標準治療と同等だが、体重増加に注意が必要】 方法:南アフリカで行われた第3相open-labelの非劣勢RCT(ADVANCE trial)。初回治療としてのTAF/FTC+DTG vs TDF/FTC+DTG vs TDF/FTC+EFV(標準治療)。Primary endpointは、4…

基礎疾患のない成人のインフルエンザ患者がオセルタミビル内服すると、day 3時点でウイルス排泄率が低下する

【基礎疾患のない成人のインフルエンザ患者がオセルタミビル内服すると、day 3時点のウイルス排泄率が低下する】 方法:二重盲検無作為比較試験、多施設共同研究(タイ、米国、アルゼンチン)。18-64歳のインフルエンザ患者で、発症から48時間以内、かつ、重…

HIV患者が妊娠時にドルテグラビルを使用していると、新生児の神経管欠損症のリスクが増大する

【妊娠時のドルテグラビルの使用によって新生児の神経管欠損症のリスクが増大する】 導入:神経管欠損は妊娠第6週(受精して4週)間以内に発生する。当初エファビレンツによるリスク増大の可能性が指摘されていたが、その後の研究で関連はないことが示された…

HIV感染者の結核治療の総説

Management of active tuberculosis in adults with HIVLancet HIV. 2019;6(7):e463-e474doi: 10.1016/S2352-3018(19)30154-7.PMID: 31272663 重要な点 ・毎年約100万人のHIV患者が結核を発症している(全結核の9%を占める) ・結核は、HIV患者の主要な死因…

MERSに対するリバビリンとインターフェロンの併用は効果なし

MERSへのribavirinとrecombinant interferonの治療効果を評価した後ろ向きコホート研究。ribavirin/rIFNで死亡率が高い結果となった。現在、ロピナビル-リトナビルとinterferon-β1bの併用治療の効果を評価するRCTが行われているのでその結果に期待(MIRACLE …

Herpes Zoster Laryngitis with Disseminated Cutaneous Lesions

VZVによる急性喉頭炎と、その治療経過で出現した播種性帯状疱疹の症例 https://www.jstage.jst.go.jp/article/internalmedicine/advpub/0/advpub_2886-19/_article