General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

HIV感染症の曝露前予防:USPSTFの推奨

USPSTFは、HIV感染へのhigh risk者に対して、TDF/FTCによる曝露前予防(preexposure prophylaxis:PrEP)を推奨した。2017年にはCDCがすでに同様の推奨を発表している。

 

米国は現在約110万人のHIV患者が存在している。また、2017年の新規発症者は38281人であった。米国の有病率は、110万/3億2720万=0.336%。日本のHIV感染者の累積報告数は約3万人(2017年末の時点)、2017年の新規発症者は1389人。かなり感染者数の違いがある。仮に今までの罹患者が全員生存していると仮定すると、有病率は3万/1億2643万=0.024%(米国の14分の1)。

 

有病率が違うこと、コストの負担の問題、保険適用の問題、などがあるため、基本的に日本では行うことはないと思いますが、serodiscordant sex partnerがいる場合は、考慮することは可能と思われます(年間140万円...健康保険は適応されないので高額です)。というか、本当にこの高額な薬剤が米国でPrEPに使用されているのか疑問です(なんらかの補助がでるのでしょうか??)。

 

f:id:General-ID:20190903221551p:plain

 

※米国予防医学専門委員会(The U.S. Preventive Services Task Force)

 

 

 

 

Preexposure Prophylaxis for the Prevention of HIV Infection: US Preventive Services Task Force Recommendation Statement
JAMA. 2019;321(22):2203-2213
PMID: 31184747
DOI:10.1001/jama.2019.6390