General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

菌血症

腸内細菌科細菌菌血症における早期経口抗菌薬スイッチ

【腸内細菌科細菌菌血症の治療は、経過良好であれば5日目までに内服スイッチ可能かもしれない】 腸内細菌科細菌菌血症早期経口スイッチ。多施設共同研究。後ろ向き観察研究。腸内細菌科細菌菌血症(Source control良好、day 1から効果ある抗菌薬、day 5まで…

肝硬変患者の重症血流感染症に対するβラクタム系抗菌薬の長時間/持続投与は予後を改善する

肝硬変患者の血流感染症に対するβラクタム系抗菌薬(PIPC/TAZとカルバペネム)の長時間/持続投与の検討。多施設前向き観察研究。経験的治療を対象としている。 PIPC/TAZは持続投与、カルバペネムは1回3-4時間投与された。通常投与群は1回30分で投与。長時間/…

重症ではない菌血症を伴った尿路感染症は初期治療が外れていても予後は悪化しない

重症ではない菌血症を伴った尿路感染症(30日mortality rateは10%程度)の治療において、初期治療が不適切であったとしても、治癒までの期間や死亡の増加はみられなかった、という後ろ向き観察研究。適切な経験的治療群と不適切な経験的治療群を比較。 複雑…

Streptococcus-like bacteriaによる菌血症の解析

Streptococcus-like bacteria(Abiotrophia, Aerococcus, Gemella, Granulicatella)による菌血症の疫学とIEのリスクを検討した後ろ向き観察研究。568例の菌血症のうち、32例(5.6%)がIEであった。各属別の菌血症のうちIEの割合は、Abiotrophia 21%、Granul…

MRSA菌血症におけるダプトマイシンとβラクタム系抗菌薬の併用

【MRSA菌血症におけるダプトマイシンとβラクタム系抗菌薬の併用で治療成績が改善する可能性がある】 米国の2つの医療機関で行われた後ろ向きコホート研究。培養採取からダプトマイシンが5日以内に開始、かつ、72時間以上投与されたMRSA菌血症の成人を対象と…

MSSA菌血症とセファゾリンのinoculum effect

MSSAによる菌血症でCefazolin Inoculum Effectがある場合は、ない場合と比較して予後が悪いことを示した研究。その他の薬剤と比較したわけではない。観察研究。多変量解析で、Cefazolin Inoculum Effectのみが30日死亡率と関連していた。両群統計学的な有意…

ESBL産生菌による菌血症の標的治療で、ST合剤とフルオロキノロンは選択肢となりうる

【ESBL産生菌による菌血症の標的治療で、ST合剤とフルオロキノロンは選択肢となりうる】 概要:ESBL産生またはAmpCβラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(E. coliまたはK. pneumoniae)による菌血症の標的治療におけるカルバペネム以外の経口(または筋注)抗菌…

S. aureus菌血症に対するPIPC/TAZは治療効果が低い可能性がある

【S. aureus菌血症に対するPIPC/TAZは治療効果が低い可能性がある】 【内容】 MSSA菌血症の治療を、全「入院」期間piperacillin/tazobactam(PIPC/TAZ)で行うと、ナフシリン/オキサシリン/セファゾリンで治療した場合に比べて、30日死亡率が高いことを示し…

ASTと感染症コンサルテーションを組み合わせるとS. aureus菌血症の予後が改善する

【S. aureus菌血症は、感染症科医とASTの関与によって死亡率が低下する】 【内容】S. aureus菌血症の患者に対して、感染症科コンサルテーションまたは(and/or)AST(antimicrobial stewardship team)が関わると、30日死亡率が低下(11% vs 24%)したことを…

ペニシリン感受性S. aureus菌血症の治療は、ペニシリンGを選択する

【ペニシリン感受性S. aureus菌血症は、flucloxacillinよりペニシリンGのほうが治療成績がよい可能性がある】 【内容】オーストラリアとニュージーランドで行われた観察研究。ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)による血流感染症(915例)の標的治療(d…

小児のグラム陰性桿菌菌血症における血液培養再検の必要性

【小児のグラム陰性桿菌菌血症では、血液培養のフォローが必要な可能性が高い】 ※成人ではroutineの再検は不要と考えられている 【内容】 小児(中央値2歳)のグラム陰性桿菌(GNR)菌血症における血液培養再検(24時間以上の間隔で提出)の有用性を後ろ向き…

人工関節のある患者におけるグラム陽性球菌菌血症の約20%で人工関節感染が起こる

【人工関節のある患者におけるS. aureus/β溶血性レンサ球菌/VGS菌血症の約20%で、人工関節感染が起こる】 股関節または膝関節の人工関節置換術後の患者に、菌血症が起こった場合に、どの程度人工関節感染が起こるか調査したフィンランドの観察研究。 菌血症…

血液培養陽性例における原因菌同定と薬剤感受性試験結果が早く出ることによってどのような効果が得られるか?

【前提条件として、MALDI TOF MSの導入と充実したASPが存在する場合、血液培養陽性例でADXより早期に同定・薬剤感受性結果が出ても予後は改善しない】 血液培養陽性例におけるAccelerate Pheno system(ADX)の導入の効果を検討した観察研究。ADXによって、9…

S. aureus菌血症の治療における経口リネゾリドの役割

【非複雑性S. aureus菌血症の治療において、1週間の静注抗菌薬治療後に、経口リネゾリドに変更して治療すると、治療効果は低下せず、入院期間が短縮する可能性がある】 概要:合併症low riskのS. aureus菌血症の治療において、治療開始3-9日から治療終了まで…

MSSA菌血症におけるセファゾリンvs黄色ブドウ球菌用ペニシリンのmeta 解析

【MSSA菌血症の治療で、セファゾリンは黄色ブドウ球菌用ペニシリンより優れている可能性がある】 方法:MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)感染症(主にMSSA菌血症)におけるセファゾリンと黄色ブドウ球菌用ペニシリンの効果を比較したmeta解析。primar…

黄色ブドウ球菌菌血症の治療期間 その2

【複雑性SABの治療期間は2週間以上必要、非複雑性SABは2週間以内でよい】 目的:S. aureus bacteremia(SAB)の死亡率と再燃率への治療期間の影響を評価する。 方法:単施設の後ろ向きコホート研究。18歳以上のSAB患者で、治療期間(14日間以内と14日間以上…

黄色ブドウ球菌菌血症の治療期間 その1

【複雑性SABの治療期間は、4週間以上がよい】 方法:「長期治療が必要な因子の存在」と「実際の治療期間」によってS. aureus bacteremia(SAB)の治療成績がどのように影響を受けるか前向きに検討した韓国の研究。長期間治療に関連する要素である持続菌血症…

市中発症の緑膿菌菌血症は死亡率30%程度で、来院時の重症度と不適切な経験的治療が死亡率の上昇と関連する

【市中発症の緑膿菌菌血症は死亡率30%程度で、来院時の重症度と不適切な経験的治療が、死亡率の上昇と関連する】 内容:市中発症の緑膿菌による血流感染症のpredisposing factorと不適切な経験的抗菌薬治療の死亡率への影響を検討したsystematic reviewとメ…

緑膿菌菌血症の標的治療は、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムで治療成績に差はない

【緑膿菌菌血症の標的治療において、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムの治療成績は同等であった】 767名のβラクタム系抗菌薬単剤で治療された緑膿菌菌血症の患者を対象として、使用抗菌薬別の30日死亡率を検討した後ろ向きコホート研…