General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

予防

不活化VZVワクチン(Shingrix)の血液腫瘍患者への効果

【不活化VZVワクチンの血液腫瘍患者への効果:液性免疫指標の反応良好】 ・Shingrixの効果を検討したRCT ・対象は、血液悪性腫瘍患者 ・placeboと比較、1-2か月間隔で2回接種 ・液性免疫の指標は良好に反応:80% ※リツキシマブを使用しているCLLとNHLを除く …

インフルエンザワクチンのよい適応は15歳未満!!

日本で研究。 15歳未満にインフルエンザワクチンを接種することは、現在の高齢者を主にtargetとした接種戦略より、罹患率の減少・費用対効果において、優れていることが示された。 Modelling the optimal target age group for seasonal influenza vaccinati…

HPV DNAワクチンの効果(CIN3の患者を対象)

【HPV DNAワクチン】 ガーダシルやサーバリックスと異なり、感染・CIN発症後の接種(治療?)です。 ・第2相試験 ・HPV16/18によるCIN3を対象 ・RCT、1mg vs 4mgを比較 ・ワクチン接種:0, 4w, 12w(筋注) ・Primary endpoint:CIN1以下へのregression ・1…

免疫正常な高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの方針変更(ACIP 2019)

【免疫正常な高齢者へのPCV13(プレベナー)の接種の推奨取りやめ】 小児へのPCV13接種によって、小児・成人におけるPCV13カバー率の低下が著明となった。2014年以降、PCV13カバーのIPDは減少しなかった。 免疫不全者・人工内耳・髄液漏を除く65歳以上の高齢…

腸チフス結合型ワクチンの効果は81.6%

【腸チフス結合型ワクチンの効果を検討】 RCT、第3相試験。ネパール。 TCV vs MenA(Conctrol)。1回接種(筋注)。 6か月から16歳。 Primary outcome:血液培養で確定診断した腸チフス:81.6%↓ 副反応少ない、約1年のf/u期間。 Phase 3 Efficacy Analysis o…

ロタウイルスワクチンの定期接種化

ロタウイルスワクチンの定期接種化 ・2020年10月から開始予定 ・標準的には、生後2か月から接種開始 ・ロタテック3回、ロタリックス2回(どちらも4週間以上の間隔) ・原則同じ製剤を使用する(ただし互換性はあると考えられている) ・腸重積が増加する可能…

インフルエンザワクチン株 2019-2020

インフルエンザワクチン株 2019-2020 (1)WHOの推奨 21 February 2019 (updated on 21 March 2019) It is recommended that egg based quadrivalent vaccines for use in the 2019-2020 northern hemisphere influenza season contain the following: A/Bri…

自家造血幹細胞移植後のrecombinant zoster vaccineの効果(シングリックス)

【自家造血幹細胞移植後の帯状疱疹ワクチン(不活化ワクチン)の効果は68%】 【背景】 自家造血幹細胞移植後のVZV再活性化は多く、6-12か月程度抗ウイルス薬の予防内服が行われている(多くの国では、アシクロビル1回800mg 1日2回、日本では1回200mg 1日1回…

歯科処置前のIE予防のための抗菌薬投与は不適切使用が多い(米国)

米国で行われた歯科処置前のIE予防のための抗菌薬投与は、80.9%が不適切であった。2007年のAHAのガイドライン(Circulation. 2007;116:1736–1754)をstandardとした。 ASP(抗菌薬適正使用支援)のよい対象である可能性があります。 Assessment of the Appro…

造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirのCMV感染症に対する予防効果

【造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirの効果の検討】 CMV-seropositiveの造血幹細胞移植レシピエントにおけるletermovirの死亡率への影響を検討した研究についてです。全死亡率を改善する可能性が示されたとしているが、実際には48週時点での死亡…

HIV感染症の曝露前予防:USPSTFの推奨

USPSTFは、HIV感染へのhigh risk者に対して、TDF/FTCによる曝露前予防(preexposure prophylaxis:PrEP)を推奨した。2017年にはCDCがすでに同様の推奨を発表している。 米国は現在約110万人のHIV患者が存在している。また、2017年の新規発症者は38281人であ…

DRCでの黄熱病outbreak時の黄熱ワクチン(20% dose)の効果

【黄熱ワクチンの20% dose接種は効果が98%:コンゴ民主共和国でのoutbreak】 背景:2016年のDRCとアンゴラでの黄熱病のoutbreakによって、世界的な黄熱ワクチン不足が起こった。そのため、標準投与量の1/5(0.1ml)に減量した黄熱ワクチンを、DPCのキンシャ…

マラリア予防にイベルメクチン!?

【3週間おきにイベルメクチンによる集団治療を行うとマラリアの罹患率が低下する】 イベルメクチンは多くの寄生虫感染で使用されている抗寄生虫薬であるが、イベルメクチンを内服したヒトの血液が、蚊に対して毒性を持つことを利用して、マラリア感染の予防…

経口バンコマイシンの予防投与は、CDIの発症率を低下させなかった

【150日以内のCDI既往のある患者が入院して全身抗菌薬を投与された場合、経口バンコマイシンを同時に投与しても、90日以内のCDI発症は減少しなかった】 CDIと診断された後、150日内に入院して1回以上の抗菌薬投与が行われた患者を対象として、予防的経口バン…