General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

肺炎

COVID-19流行地域での市中肺炎診療

COVID-19流行地域での市中肺炎診療 Treatment of Community-Acquired Pneumonia During the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic. Ann Intern Med. 2020 May 7. doi: 10.7326/M20-2189. https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-2189 1. COVI…

Stenotrophomonas maltophilia肺炎の治療はST合剤単剤でよい

【Stenotrophomonas maltophilia肺炎の治療は単剤が基本】 後ろ向き観察研究。 対象者:S. maltophilia pneumonia who received at least 48 h of effective therapy(血液培養陽性例はわずかのみ)。 効果のある抗菌薬投与開始後7日時点での臨床的反応率を…

ATS/IDSAの成人の市中肺炎(CAP)の診断と治療ガイドライン 2019

【ATS/IDSAの成人の市中肺炎(CAP)の診断と治療ガイドライン 2019】 16の臨床的疑問に回答する形式です。以下、その回答(recommendation)を意訳したものを記載しています。 重症市中肺炎の定義は、2007年のガイドラインと同様で、major criteria(血管収…

セフトロザン-タゾバクタムの多剤耐性緑膿菌による下気道感染症(主に肺炎)への効果

セフトロザン-タゾバクタムの多剤耐性緑膿菌による下気道感染症(主に肺炎)への効果を検討した観察研究。MIC 2を超えると治療成績が悪化。「感性」の基準はMIC≦4。MIC 2以下かつ高用量(3g 8時間おき:通常投与量の倍量)だと成績がよかった。 「S」 と判定…

非重症市中肺炎をセフトリアキソンで治療する場合、1g 24時間おきでよい

【非重症市中肺炎をセフトリアキソンで治療する場合、1g 24時間おきでよい】 内容:市中肺炎におけるセフトリアキソンの投与量の検討。1g 24時間おきでよい可能性が高いという結論。市中肺炎の治療のRCT(CTRXとその他の薬剤の治療効果を比較したもの)を集…

Enterobacter肺炎に対するPIPC/TAZは、標的治療の選択肢のひとつとなるかもしれない

【導入】 Enterobacter spp.は院内肺炎の主要な原因菌のひとつである。カルバペネム系抗菌薬が第1選択薬であるが、薬剤耐性菌の増加に伴いカルバペネム温存が求められている。セフェピムは、カルバペネムと同等の効果が示されてきた。ピペラシリン/タゾバク…

MALDI-TOF MSの使用によって、入院している肺炎患者において、原因微生物判明と適切な治療がより早期に可能となったが、臨床効果の改善はなかった

【MALDI-TOF MSの使用によって、入院している肺炎患者において、原因微生物判明と適切な治療がより早期に可能となったが、臨床効果の改善はなかった】 米国の単施設で行われた後ろ向き観察研究。もともと抗菌薬適正使用支援プログラム(AS program)のある病…

市中発症の肺炎に対する緑膿菌/MRSAのカバーは、予後悪化と関連する可能性がある

【市中発症の肺炎に対する緑膿菌/MRSAのカバーは、予後悪化と関連する可能性がある】 米国の4つ救急外来から入院となった市中肺炎(厳密には「市中発症の肺炎」で、healthcare-associated pneumoniaを含む)の1995名の18歳以上の患者を対象とした後ろ向き観…

抗菌薬適正使用支援チームの介入によって、治療成績への悪影響なしで、市中肺炎の治療期間が短縮する

【抗菌薬適正使用支援チームの介入によって、治療成績への悪影響なしで、市中肺炎の治療期間が短縮する】 市中肺炎の診療に対するmultifaceted CAP-focused stewardship施行前後の市中肺炎の治療期間を比較した多施設観察研究。米国からの報告。 対象は18歳…

市中肺炎に対する副腎皮質ステロイドの使用への注意喚起

【市中肺炎に対する副腎皮質ステロイドの使用への注意喚起:集中治療を要しない非重症肺炎で使用すべきではない】 以下、重要な点を列挙。 ・市中肺炎に対するステロイドの効果を検討したメタ解析は複数報告されている ・重症市中肺炎で死亡率を低下させるが…

市中肺炎の治療を、副腎皮質ステロイド投与を含めたbundleを作成・実施しても、予後は改善せず、消化管出血が増加した

入院を必要とした市中肺炎患者(N=816)に対して、PSL 50mg/日を7日間投与(禁忌がない場合は全例に使用)、標準的な基準を使用した内服抗菌薬へのde-escalation、早期離床、低栄養スクリーニングと必要時の栄養療法を行った介入群は、非介入群(通常治療群…