General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

経口抗菌薬

腸内細菌科細菌菌血症における早期経口抗菌薬スイッチ

【腸内細菌科細菌菌血症の治療は、経過良好であれば5日目までに内服スイッチ可能かもしれない】 腸内細菌科細菌菌血症早期経口スイッチ。多施設共同研究。後ろ向き観察研究。腸内細菌科細菌菌血症(Source control良好、day 1から効果ある抗菌薬、day 5まで…

入院を必要とする蜂窩織炎の治療期間

【入院を必要とする蜂窩織炎の治療 6日間 vs 12日間:前者で再燃が多い】 蜂窩織炎の抗菌薬投与期間を、6日 vs 12日で比較。オランダで行われた、多施設、非劣勢、無作為比較試験。対象は、入院を必要とした成人の蜂窩織炎患者(血液培養陰性、85%程度が下肢…

テビペネムの総説

テビペネム(Tebipenem pivoxil HBr)について 要点 ・テビペネム・ピボキシルに臭化水素酸塩を付加したもの(安定性などが改善) ※日本で販売されているものは、臭化水素酸塩なし ・カルバペネム系抗菌薬の内服薬 ・スペクトラムは、エルタペネムとほぼ同等…

肝膿瘍の治療:経口抗菌薬へのスイッチは1週間では早すぎる

【肝膿瘍の静注抗菌薬治療は、1週間では短すぎる】 概要:肝膿瘍(ドレナージあり)の治療を退院時点から、内服に変更した群と、点滴治療を続けた群での、再入院率(治療失敗率などの複合outcome)を比較した後ろ向き観察研究。結論は、内服治療群で再入院が…

ESBL産生菌による菌血症の標的治療で、ST合剤とフルオロキノロンは選択肢となりうる

【ESBL産生菌による菌血症の標的治療で、ST合剤とフルオロキノロンは選択肢となりうる】 概要:ESBL産生またはAmpCβラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌(E. coliまたはK. pneumoniae)による菌血症の標的治療におけるカルバペネム以外の経口(または筋注)抗菌…

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言について:急性気管支炎編

【「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」への感想第3弾】 原因微生物は、基礎疾患や合併症の有無で分けて考える必要がある、というところはよいと思います。 基礎疾患がない場合または軽微である場合、基本的に急性気管支炎に対する抗菌薬は不要であり…

気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言について:急性咽頭炎・扁桃炎編

【「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」への感想第2弾】 (1)急性咽頭炎・扁桃炎 疫学、診断は、「手引き」を踏襲しています。しかし、治療の項目において、根拠のない記載が目立ちます。「初回治療失敗例,重症例(とりわけ成人重症例)などいわゆ…

ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症と低血糖

ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症と低血糖 ピボキシル基含有抗菌薬 ・セフカペン・ピボキシル(フロモックス) ・セフジトレン・ピボキシル(メイアクト) ・セフテラム・ピボキシル(トミロン) ・テビペネム・ピボキシル(オラペネ…

S. aureus菌血症の治療における経口リネゾリドの役割

【非複雑性S. aureus菌血症の治療において、1週間の静注抗菌薬治療後に、経口リネゾリドに変更して治療すると、治療効果は低下せず、入院期間が短縮する可能性がある】 概要:合併症low riskのS. aureus菌血症の治療において、治療開始3-9日から治療終了まで…

各国の小児への経口抗菌薬処方についての実態調査

(1)米国 急性中耳炎に対する処方が多い、ペニシリン系の処方が多い Pediatrics. 2014 Mar;133(3):375-85 doi: 10.1542/peds.2013-2903 PMID: 24488744 (2)ギリシャ マクロライド、第3世代セファロスポリンの処方が多い J Antimicrob Chemother. 2015 Aug…

熊本県における経口抗菌薬処方の実態 2012-2013

熊本県の国民健康保険または後期高齢者医療制度の受給者の2012-2013年のデータベースを使用して、経口抗菌薬の処方パターンを調査し、抗菌薬処方に関連した因子を同定するための後ろ向きコホート研究。 処方された経口抗菌薬は、第3世代セファロスポリン35%…

日本の小児に対する抗菌薬処方量の推移 2013-2016

【小児に対する抗菌薬は、多くがウイルスによる急性気道感染症に処方されている。また処方されている薬剤の大半を第3世代セファロスポリンとマクロライドが占めている】 【方法】 national health claims databaseを使用して、後ろ向きに15歳以下の小児に対…