General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症と低血糖

ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症と低血糖

 

ピボキシル基含有抗菌薬

・セフカペン・ピボキシル(フロモックス)

・セフジトレン・ピボキシル(メイアクト

・セフテラム・ピボキシル(トミロン)

・テビペネム・ピボキシル(オラペネム

 

重要な点

・ピボキシル基含有抗菌薬との関連が疑われる低カルニチン血症は、短期間でも起こりうる

・稀に脳症を起こし、後遺症を残すこともある

・低カルニチン血症の症状は、低血糖意識障害・痙攣

・内服後の低血糖の報告は、1歳台が最も多い

・内服後の低血糖のメカニズムは複雑であり、低カルニチン血症のみが原因ではない

・低ケトン性低血糖症では、カルニチン欠乏症を念頭に置き、カルニチン濃度を測定する(※ただし保険適用外)

・低カルニチン血症が疑われた場合、L-カルニチン製剤(40-60mg/kg/日)を投与する(※ただし保険適用外)

 

 

今年度の感染症専門医試験にも、これに関連した内容の問題が出題されました。これらの薬剤は、第1選択となる状況は基本的にありませんので(処方されているほとんどの例が、抗菌薬不要なものであり、抗菌薬が必要だとしても、アモキシシリンでよいことが大半です)、処方しないようにすることが重要です。現在国家レベルで進められているAMR(薬剤耐性)対策でも、処方量を減らしていくことが目標となっている抗菌薬です。

 

 

 

小児科学会の注意喚起

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20190820pivoxil_chuikanki.pdf