小児のグラム陰性桿菌菌血症における血液培養再検の必要性
【小児のグラム陰性桿菌菌血症では、血液培養のフォローが必要な可能性が高い】
※成人ではroutineの再検は不要と考えられている
【内容】
小児(中央値2歳)のグラム陰性桿菌(GNR)菌血症における血液培養再検(24時間以上の間隔で提出)の有用性を後ろ向きに検討した日本発の観察研究(対象99例)。血液培養を再検した99例のGNR菌血症の21例(21%)で、持続菌血症を認めた。そのうち57%で治療方針が変わった(抗菌薬の変更・投与量増量、カテーテルなどの人工物の抜去)。中心静脈カテーテル(CVC:PICCを含む)留置と不適切な経験的治療が、持続菌血症と関連していた。尿路感染症によるGNR菌血症で持続菌血症を示した症例は1例もなかった。
感染focusは、CRBSI 24%、UTI 13%、消化管4%、不明52.5%。感染focus別のf/uの血液培養陽性率は、CRBSIで41.6%、UTIで0%、消化管感染症0%、腹腔内感染症33%(3例中1例)、不明で17.3%であった。持続菌血症となった21例中CVCが留置されていたのは18例(85.7%)であった。
【解釈】
各感染focusの症例数が少ないことから、どの感染症で血液培養再検が必要または不要か、は判断できないし、この研究の結果から、GNR菌血症全例で血液培養再検が必要ということも言えない。CVC留置中や初期治療のカバーが外れていた場合は、血液培養の再検は必要と言ってよい。source controlができており、治療経過が良好な場合に、血液培養の再検が必要かどうかはこの研究からは判断できない(あまり必要ないように思われる)。focus不明な場合やSalmonella菌血症(持続菌血症を呈した患児の経験があるため:個人的な意見)、腎膿瘍や腹腔内膿瘍の可能性が想定される場合は、血液培養再検しておいたほうがよいと思われる。
【結論】
血液培養の再検が必要な状況
・経験的治療のカバーが外れていた場合
・CVカテーテル挿入中
・focus不明
血液培養の再検が不要な状況
・尿路感染症
Utility of follow-up blood cultures for Gram-negative rod bacteremia in children
J Infect Chemother. 2019 Sep;25(9):738-741
PMID:31155450
DOI:10.1016/j.jiac.2019.04.014
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1341321X19301187?via%3Dihub