General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

ペニシリン感受性S. aureus菌血症の治療は、ペニシリンGを選択する

ペニシリン感受性S. aureus菌血症は、flucloxacillinよりペニシリンGのほうが治療成績がよい可能性がある】

 

【内容】オーストラリアとニュージーランドで行われた観察研究。ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)による血流感染症(915例)の標的治療(definitive therapy)において、ペニシリンGは、flucloxacillinより30日死亡率が低かった(ペニシリンG群 10.5% vs flucloxacillin群 14.2%)。Flucloxacillinの使用は、30日死亡率の上昇に関連していた。IEの場合PCGが使用されることが多く、SSTIの場合はfluclaxacillinが使用されることが多かった。

 

【解釈】観察研究であり、重症度・source control・経験的治療・抗菌薬投与量・治療期間・併用治療の有無などは検討していないため、RCTを行わないと最終結論はでないが、PSSA菌血症に対して、PCGが十分選択肢となり、積極的にde-escalationする方針でよいと考える。セファゾリンとの比較はしていないので、CEZがPCGより劣るかどうかは不明である。おそらくアンピシリンは、ペニシリンGと同様と考えてよいと思われる。

 

 

 

Benzylpenicillin versus fucloxacillin for penicillin susceptible Staphylococcus aureus bloodstream infections from a large retrospective cohort study
Int J Antimicrob Agents. 2019 Jun 7.
PMID:31181352
DOI:10.1016/j.ijantimicag.2019.05.020

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0924857919301372?via%3Dihub