General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

2019-08-25から1日間の記事一覧

血液悪性腫瘍患者(主に造血幹細胞移植後)におけるCMV感染症の診療ガイドライン

【血液悪性腫瘍患者におけるCMV感染症診療ガイドライン2019】 (1)重要な点 ・HSCT後のCMV diseaseは臨床研究では2-3%だが、real-worldでは5-10% ・臍帯血移植の場合、CMV再活性化のriskは高く、腫瘍の再発以外での死亡率が上昇 ・HSCT後100日以内のCMV dis…

便移植で多剤耐性菌が減る?

便移植は、腸管内の耐性菌のcolonizationを減らす可能性がある。 ただし、これまでの報告は、すべて小規模な研究である。 先日、便移植によって多剤耐性菌が伝播し、重症感染症を発症した報告があったことから、FDAが注意喚起していましたが、それとは逆の内…

メトロニダゾールmetronidazoleによる末梢神経障害のリスク因子

メトロニダゾールによる末梢神経障害を調査した研究。 42g以上の使用と4週間以上の使用が、末梢神経障害発症に関連した。多くの場合、治療終了後に(2週間以上から数年の経過で)改善するが、不可逆的なケースもある。 Clinical relevance of metronidazole …

人工関節のある患者におけるグラム陽性球菌菌血症の約20%で人工関節感染が起こる

【人工関節のある患者におけるS. aureus/β溶血性レンサ球菌/VGS菌血症の約20%で、人工関節感染が起こる】 股関節または膝関節の人工関節置換術後の患者に、菌血症が起こった場合に、どの程度人工関節感染が起こるか調査したフィンランドの観察研究。 菌血症…

MRSA肺炎の治療:バンコマイシンとリネゾリド以外の選択肢は?

【MRSA肺炎の治療で、VCM/LZDが使用できない場合は、ST合剤→CLDM→Mino】 MRSA肺炎におけるST合剤、CLDM、Doxy、Minoの治療効果についての総説。 ST合剤は比較的研究されているが、2つのRCTでは、標準治療(VCM、LZD)より劣っている可能性が示されている。観…

新しいバンコマイシンのTDMガイドラインの概要(public comment募集前のdraft)

先日先輩に教えていただいたバンコマイシンの新しいTDMガイドラインのドラフトの推奨部分を、意訳して、まとめてみました。 まず重要な点です ・目標とする指標は、成人・小児ともにAUC/MIC 400-600(基本的にMIC=1) ・この目標値は、年齢、腎機能、肥満の…

耳鏡よりも「耳かきカメラ」!?

前の職場の先輩がSNSで、「耳かきカメラ」について投稿していたので、自分でも買ってみました。 明らかに、通常の耳鏡より鼓膜の観察が容易です。wifi接続可能で、画像はiPhoneでみることができて、写真もとれるので、非常に便利です。 利点 ・鼓膜をはっき…