General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

真菌

新規AML診断患者のスクリーニング胸部CTによって、10%でIPAがみつかる

新規にAMLと診断された患者全員に胸部CT(baseline CT:スクリーニングとして施行)を撮影すると、侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)が10%の可能性で見つかった、という報告。 単施設の研究、mortalityなどへのbaseline CTの影響は検討していない、などの問題…

ボリコナゾールによる副作用 - 特に脳症について -

ボリコナゾールによる副作用 - 特に脳症について - ★要点 ・VRCZの副作用: 肝障害、視野障害、光毒性、皮膚悪性腫瘍のリスク上昇、不整脈(QT延長) 骨膜炎、幻覚、脳症、末梢神経障害、脱毛、爪の変形、低Na血症 ・トラフ濃度が5-6 µg/mLを超えると増える…

Candidaによる膿胸 その5 - まとめ -

【Candidaによる膿胸のまとめ】 (1)診断方法 - 滲出性胸水の培養でCandida spp.検出 - 発熱・WBC増多などの感染所見 を満たすもの (2)colonizationとinfectionの鑑別は難しい - 診断基準を、胸水培養2回陽性、または、胸水培養と血液培養が陽性、のいず…

Candidaによる膿胸 その4

【悪性腫瘍患者における真菌性膿胸のcase series】 ・後ろ向き研究、2005-2013年 ・対象:18歳以上で基礎疾患に悪性腫瘍、滲出性胸水から真菌が検出 ・患者の特徴 - 97名の患者の胸水から106株の真菌が検出された - 年齢中央値63歳、固形癌69% - 症状:呼吸…

Candidaによる膿胸 その3

【Candida膿胸63例(2002-2011年)のcase series、台湾からの報告】 ・対象:以下の3つを満たす - 滲出性胸水からCandida検出 - 培養2回以上陽性 or 胸水培養と血液培養陽性 - 感染所見あり ・胸水培養陽性例は102名、漏出性(8名)・症状なし(5名)・以前…

Candidaによる膿胸 その2

【真菌性膿胸のcase series、台湾からの報告、UpToDateの引用文献】 ・真菌性膿胸の診断基準は、次の3つを満たす状態 - 胸水から真菌(yeast、moldどちらも含まれる)を検出 - 発熱やWBC上昇などの感染所見 - 2回以上胸水から同じ糸状菌が検出 or 胸水と、血…

Candidaによる膿胸 その1

UpToDate(Candida infections of the abdomen and thorax) にはあまり記載されていませんでした。 そこに記載されていた内容をまとめました。 ・Candida albicans, Candida glabrataの頻度が高い ・基礎疾患には、悪性腫瘍が多い ・医療関連感染であること…

クリプトコッカス髄膜炎患者の髄液のグラム染色像

【クリプトコッカス髄膜炎患者の髄液のグラム染色像】 幾何学的構造は、Cryptococcus属のムコ多糖莢膜由来の粘液性成分であり、酵母を相互に連結している。 Puzzling mosaics in cerebrospinal fluidClin Microbiol Infect. 2018 Nov;24(11):1156-1157doi: 1…

ESCMIDによる新生児と小児における侵襲性アスペルギルス症診療ガイドライン

ガイドラインの紹介です。内容は、読んでからのお楽しみ。 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1198743X19302824?fbclid=IwAR3mio51eDHNH5UalqX9QuAu6GaU7p6dDF4a1HfcqvgJJWdwZ6ztooaxDQU