Candidaによる膿胸 その5 - まとめ -
【Candidaによる膿胸のまとめ】
(1)診断方法
- 滲出性胸水の培養でCandida spp.検出
- 発熱・WBC増多などの感染所見
を満たすもの
(2)colonizationとinfectionの鑑別は難しい
- 診断基準を、胸水培養2回陽性、または、胸水培養と血液培養が陽性、のいずれかを満たす場合とすると、より正確にCandida膿胸を診断できると思われる
- 膿胸発症前に留置されていたchest tube(気胸などの治療目的)からの培養陽性1回は、colonizationの可能性がある。
(3)species
- Candida albicans, Candida glabrata、Candida tropicalisの順に多い。
(4)基礎疾患
- 悪性腫瘍、免疫不全状態が多い。
(5)症状
- 発熱、呼吸困難、胸痛、咳など
- 呼吸不全やshockを呈することもある
(6)Candida血症の合併:10-25%程度
(7)細菌との混合感染:25-50%程度
- Streptococcus属、Staphylococcus属、Enterococcus属、緑膿菌、腸内細菌科細菌など。
(8)原因疾患
- 腹腔内疾患が最多(腹部手術歴、消化管穿孔)
- 気道感染症(肺化膿症、bronchopleural fistula、tracheoesophageal fistula)
- 開胸術
- 食道破裂
- 繰り返す胸腔穿刺
- 胸腔ドレナージ
- Candida血症による血行性播種
隣接する感染症がなくても膿胸は発生しうる
(腹腔内膿瘍、腸管虚血、腸管穿孔、Candida血症など)。
(9)治療
- 抗真菌薬と胸腔ドレナージ(chest tube留置 or 外科的手術)
- どちらも行うことが一般的である
- 上記の一方のみを行う場合、予後が悪化する可能性がある
- 治療期間:2-4週間程度、経過をみて決定
※ドレーン抜去から2週間という意見もある
(10)mortality
- 60%以上という報告が多い
- 予後不良因子:免疫不全、抗真菌薬投与なし、呼吸不全、shock
(11)参考文献
- Candida infections of the abdomen and thorax), UpToDate 2019.8 DL
- Chest 2000;117(6):1672-8
- J Microbiol Immunol Infect 2014;47(1):36-41
- J Infect 2016;72(5):615-21