General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

Oligella urethralis

稀な細菌に出会ったので、調べてみました。

 

(1)基本情報

・Oligella uretralisは、ヒトの泌尿生殖器の常在菌である

・上気道の常在菌の可能性が指摘されている

・好気性グラム陰性球桿菌

・もともとMoraxella属であったが、1987年にOligella属に分類された

・Oligella属は、O. urethralisとO. ureolyticaの2菌種存在する

 

(2)培養

・培地での発育が緩徐であり、4日までの培養が必要

・nutrient agarで緩徐に発育する

・通常の血液寒天培地では、小さい不透明から白色のコロニーを形成する

・通常の尿培養では、4日間も培養しないため、同定されない可能性がある

・通常の生化学的性状の評価では同定困難である

・O. uretralisの同定には、MALDI-TOF MSが有用である

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(3)clinical presentation

・O. uretralisによる感染症の多くは、尿路感染症である

・肺炎など尿路感染症以外の感染症を起こすことがある

・O. uretralisは、主に免疫不全者に感染症を起こす

 

(4)治療

・O. uretralisは、βラクタム系やアミノグリコシド、ST合剤への感受性はよい

・フルオロキノロン系に対して耐性であることが多いのが特徴

・一般的に予後はよい

 

 

 

The Brief Case: Extragenitourinary Location of Oligella urethralis.
J Clin Microbiol. 2019;57(8).
doi: 10.1128/JCM.01542-18
PMID: 31350375

https://jcm.asm.org/content/57/8/e01542-18.long