重症ではない菌血症を伴った尿路感染症は初期治療が外れていても予後は悪化しない
重症ではない菌血症を伴った尿路感染症(30日mortality rateは10%程度)の治療において、初期治療が不適切であったとしても、治癒までの期間や死亡の増加はみられなかった、という後ろ向き観察研究。適切な経験的治療群と不適切な経験的治療群を比較。
複雑性尿路感染症は約40%。適切な経験的治療群のほうがquick SOFA socre>1が多かった(27.7% vs 48.1%)。原因微生物は、E. coliとKlesiella spp.で約75%。経験的に使用された抗菌薬は、CTRXが最多、その他PIPC/TAZ、シプロフロキサシンなど。記載はないが、おそらくカバーがはずれた症例は、ESBL産生菌(CTRX耐性)やフルオロキノロン耐性菌が主だと思われる。
後ろ向き観察研究であること、両群の重症度が異なるため(適切な治療群でqSOPAが高い傾向→それによる予後の悪化がある可能性)、同等の成績とは言えないが、軽症であれば、ESBL産生菌や緑膿菌を全例でカバーする必要はないと思われる。
The association of adequate empirical treatment and time to recovery from bacteraemic urinary tract infections: a retrospective cohort study
https://doi.org/10.1016/j.cmi.2019.02.027
https://www.clinicalmicrobiologyandinfection.com/article/S1198-743X(19)30095-3/fulltext