General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

E. coli、Klebsiella spp.、P. mirabilisにおけるCTRX非感性株は、ESBL産生株とは限らない

【E. coliなどのCTRX非感性は、必ずしもESBL産生を意味しない】

 

内容:E. coli, K. pneumoniae, K. oxytoca, P. mirabilisでCTRX MIC≧2 µg/mLの臨床株(カルバペネム非感株は除外)のβ-lactamase遺伝子を解析した。米国の1つの病院(Johns Hopkins Hospital)で、8か月間のすべての株を対象とした。1929株のうち482(25%)がCTRXのMIC≧2 µg/mLかつ、カルバペネムに感性であった。CTRX非感性株を検出した検体は、尿73%、血液9%、呼吸器9%、腹水8%、創部1%だった。482株のうち、ESBLまたはAmpC(プラスミド介在)は、376株(78%)で指摘された。376株のうち、82.4%はESBL、0.5%がAmpC、ESBLとAmpCをもつものが17%だった。ESBLは、CTX-M-1 group(CTX-M-15を含む)が最多であった。

 

解釈:上記の4菌種が「CTRX耐性」の場合、ESBL産生菌を通常想定するが、プラスミド型AmpCも存在する割合がそれなりにあり(この研究では20%弱)、EBSLとAmpCどちらもないケースもある(この研究では20%程度)ことが示された。セフメタゾール耐性の場合は、AmpC(±ESBL)の可能性を想定して、確認試験を行う必要がある(実際に行っている施設が多いと思われる)。ESBLの場合、AmpCの場合、両方の場合、ぞれぞれにおいて選択する抗菌薬が異なるため(どの状況でもカルバペネム系抗菌薬は効果があるが、適正使用の観点から、可能であればその使用は控えたいところ)、きちんと耐性機序を同定することは重要である。日本でも、同様の調査が行われることが期待される。

 

 

 

Molecular Epidemiology of Ceftriaxone Non-Susceptible Enterobacterales Isolates in an Academic Medical Center in the United States
Open Forum Infectious Diseases, ofz353,
doi:10.1093/ofid/ofz353

https://academic.oup.com/ofid/advance-article/doi/10.1093/ofid/ofz353/5546016