General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

Enterococcus faecalis感染性心内膜炎の総説

要点です

・Enterococcus IEの97%は、E. faecalis
・E. faecalisは、E. faeciumより高率にbiofilmを形成(90% vs 20%)
・βラクタム系抗菌薬単剤は、E. faecalisに対して「殺菌的」効果がない
・E. faecalis IEで、PCG or ABPC単剤治療を行うと、高率に治療失敗する
・PCG or ABPCにアミノグリコシドGM or SM)追加でsynergy効果あり
・近年E. faecalisのアミノグリコシド高濃度耐性(HLAR)株が増加している
・E faecalis IEにおいて、βラクタム系抗菌薬の併用が近年検討されてきた
・最初は、アモキシシリンとセフォタキシムの併用
・併用によって両薬剤のMICが低下(in vitro)
・PBP 2と3にCTXが結合、PBP4と5にAMPCが結合→殺菌効果
・その後、ウサギの実験で、アンピシリン+セフトリアキソン(AC療法)を検討
・その実験では、CTRXの存在下で、ABPCのMICが4分の1となった
・これまでAC療法と、ABPC+アミノグリコシド(AG療法)を比較した観察研究(ヒト)は3つ
・観察研究で、AC療法はAG療法と同等の効果
・非HLAR株でも、HLAR株でも効果が期待できる
・AC療法は、腎障害が少ない
・AC療法の効果を示したものはすべて観察研究である
・しかし、AG療法のevidenceも同様である
・AG療法におけるアミノグリコシドは、2週間でよい可能性(小規模な観察研究)
・AC療法の欠点:CTRXは、C. difficile感染症VRE感染症のリスク因子
・ABPCとセフタロリンorセフェピムの併用治療は、in vitroで併用効果あり
・この2剤は、ほとんど排泄されないため、VREのリスクが低い
・ダプトマイシン+βラクタムは、synergy効果が期待できる可能性がある
・Dapto+ABPC、Dapto+ceftarolineなどが検討されている(case reportレベル)
・ホスホマイシン+Daptoなどいろいろin vitroで検討されているが微妙な結果

 

 

https://academic.oup.com/cid/article/67/2/303/4829420?fbclid=IwAR3BpKZsQdM4gYlkh7GiK8Z6-MNf_-YK38fqavzCneTqyRwwtdIbdv1UoxY