General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

COVID-19流行地域での市中肺炎診療

COVID-19流行地域での市中肺炎診療

 

Treatment of Community-Acquired Pneumonia During the Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) Pandemic. Ann Intern Med. 2020 May 7. doi: 10.7326/M20-2189.

https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-2189

 

1. COVID-19と確定診断されていない市中肺炎患者において、細菌性肺炎としての経験的治療を推奨する。ただし、COVID-19と確定診断された場合、すべての患者に対して細菌性肺炎の経験的治療が必要なわけではない。

 

2. dataは限られているが、COVID-19の患者における細菌性肺炎(市中発症)の原因微生物は、通常の市中肺炎と同じであるため、経験的治療に選択する抗菌薬は同じもの(CTRX+AZM or LVFX)を推奨する。

 

3. 喀痰培養と血液培養は、多剤耐性菌(緑膿菌MRSA)を考慮する場合に有用である。

 

4. プロカルシトニンは、COVID-19患者における抗菌薬の過剰使用の抑制に有用かもしれない(ただし、COVID-19でプロカルシトニン上昇を示した報告もある)。

 

5. COVID-19患者で、呼吸不全を引き起こす肺障害に宿主の免疫学的プロセスが重要な役割を果たしている可能性が高いが、immunomodulating therapy(副腎皮質ステロイドなど)は現時点では推奨されない。

 

※この推奨は、市中肺炎(入院前のCOVID-19と細菌性肺炎の重複感染)についてのものであり、入院後に発症する院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎については言及していない。