COVID-19患者の上気道検体のウイルス量
COVID-19患者の上気道検体のウイルス量
N Engl J Med. 2020 Feb 19. doi: 10.1056/NEJMc2001737
【方法】
・広東省珠海市のSARS-CoV-2に感染した18名(男性9名、女性9名)を対象とした
・ポリエステルフロックスワブを使用して、鼻腔または咽頭から検体を採取
・PT-PCR(reverse transcriptase–polymerase chain reaction assay)を施行
・上気道検体におけるウイルス量をモニタリングした
【結果】
・年齢中央値59歳(26-76歳)、1名は無症状(濃厚接触者)
・14名は武漢滞在歴あり、4名はsecondary cases
・14名中13名は肺炎像あり(CT)、3名はICU入室
・症状のなかった1名の患者は、接触後7, 10, 11日目でPCR陽性
・症状のある17名の患者で、症状出現からの日数とウイルス量の関係を検討した
・症状出現後の7日間程度のウイルス量が高値だった
・咽頭より鼻腔でウイルス量が高値だった
【考察】
・ウイルス核酸の排泄のパターンは、インフルエンザと似ていて、SARS-CoV(発症からウイルス排泄は見られるが、ピークは発症から10日目頃)とは異なっていた
・1名ではあるが、無症状の患者のウイルス量は、有症状の患者と同等であった→無症状やわずかな症状をもった患者からの伝播する可能性を示唆する
・あくまでPCRでのウイルス量の評価であり、培養可能なウイルス量との関連は不明
・重症例と軽症から中等症例で、ウイルス量の差は認められなかった
【結論】
・発症から2週間程度はウイルス排泄あり、発症から3-5日までのウイルス量が高値
★この結果をうけて、国立感染症研究所の新型コロナウイルス感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアルの、推奨する検体の採取部位が、咽頭ぬぐい液から鼻咽頭ぬぐい液に変更された(2020.2.21)。