SARS-CoV-2抗原検査
まとめ
・SARS-CoV-2抗原検査のdataはまだ非常に少ない(まだ文献化されていない)
・検査材料は、鼻咽頭ぬぐい液で、検査時間は30分以内である
・ウイルス量が多ければ感度は高くなるが、PCR検査より感度が劣る
・SARS-CoV以外との交差反応はなく、特異度は高いと思われる
・診断目的に使用(現時点では、症状がある患者のみを対象としている)
・結果が「陽性」の場合、確定診断として、最寄りの保健所に届け出る
1. SARS-CoV-2抗原検査:エスプライン® SARS-CoV-2(富士レビオ)
(1)基本事項
・酵素免疫反応を測定原理としたイムノクロマト法
・判定時間:30分以内
(2)交差反応性
・インフルエンザウイルス(H1N1, H3N2, B)との反応なし
・下記のリコンビナント人コロナウイルス抗原との反応なし
MERS-CoV, HCoV-299E, HCoV-OC43, HCoV-NL63, HCoV-HKU1
(3)使用目的
・欠点:核酸増幅法と比較して検出に一定以上のウイルス量が必要である
以下の状況では、適切な検出性能を発揮できず、使用してはいけない
- 無症状者への使用
- 無症状者に対するスクリーニング検査目的
- 陰性確認(治療効果判定)
(4)結果の解釈
・陽性:確定診断
・陰性:除外診断には適さない(感度が不十分)なため、さらにPCR検査を行う
(5)これまでのdata
1) 国内臨床検体を用いた相関性(文献化されていない)
・RT-PCRと比較(n=72):陰性一致率98%(44/45例)、陽性一致率37%(10/27例)
・換算RNAコピー数 100 copy/test以上の検体:陽性一致率83%(5/6例)
・換算RNAコピー数 30 copy/test以上の検体:陽性一致率50%(6/12例)
※換算RNAコピー数は、Ct値から換算した推定値(換算式などは記載なし)
2) 行政検査検体を用いた試験(文献化されていない)
・RT-PCRと比較(n=124):陽性一致率66.7%(16/24例)、陰性一致率100%(100/100例)
・換算RNAコピー数 1600 copy/test以上の検体:陽性一致率100%(12/12例)
・換算RNAコピー数 400 copy/test以上の検体:陽性一致率93%(14/15例)
・換算RNAコピー数 100 copy/test以上の検体:陽性一致率83%(15/18例)
3. 保険適用について
・2020年5月13日から保険適用
・600点
・COVID-19が疑われる患者に対しCOVID-19の診断を目的として行う
・原則1回に限り算定(初回陰性で、他疾患の診断がつかない場合は、2回目も算定可)
4. 指定感染症の届け出基準(2020.5.13)
・迅速診断キットによる病原体の抗原の検出(検査材料:鼻咽頭ぬぐい液)が追加された
・抗原検査陽性で、診断確定として、最寄りの保健所に届け出る必要がある
5. 参考資料
1) SARS-CoV-2抗原検出用キットの活用に関するガイドライン(2020.5.13)
2) エスプライン®SARS-CoV-2の添付文書(2020.5)
3) 医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準 新旧対照表(2020.5.13)