E. faecalis IEの治療における、PCGとCTRXによる併用治療の可能性
Enterococcus faecalisによる感染性心内膜炎の治療として、アンピシリンとセフトリアキソンの併用治療がある。
しかし、アンピシリンは生理食塩水に溶解した場合、安定性に欠けるため、OPAT(外来での静注抗菌薬治療)では使用できない。ペニシリンGは、OPAT可能な薬剤であり、アンピシリンの代わりにペニシリンGが使用できれば、入院期間の短縮につながる。
しかし、PCGとCTRXの、in vitroでのsynergy効果(1つの研究ではsynergy効果は認めなかった)や、臨床効果は、ほぼ検討されておらず、不明である。
この著者たちは、10名のEnterococcus faecalis IEの患者のうち5名をPCG+CTRXで治療した。2名はfollow-upできなかったため転帰は不明、3名は6週間の治療を行い、再燃を認めなかった。PCGは1800-2400万単位/日(持続投与)。
解釈:PCG+CTRXというregimenが可能であれば、OPATが可能となり、入院期間の短縮につながる。しかし、まだ十分なevidenceはなく、この3例のcase seriesの結果をもって、PCG+CTRXによる併用治療をE. faecalisによるIEの治療選択肢のひとつとすべきではないと考える。また、infusion pumpを採用している医療機関でのみ、持続点滴のOPATが可能であり、おそらくそれを施行可能なのは日本では亀田総合病院だけだと思われる(感染症誌 2014;88:269-274)。
https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciz594/5526125