General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

Streptococcus-like bacteriaによる菌血症の解析

Streptococcus-like bacteria(Abiotrophia, Aerococcus, Gemella, Granulicatella)による菌血症の疫学とIEのリスクを検討した後ろ向き観察研究。568例の菌血症のうち、32例(5.6%)がIEであった。各属別の菌血症のうちIEの割合は、Abiotrophia 21%、Granulicatella 7.3%、Gemella 6.9%、Aerococcus 3.8%(A. urinaeに限定すると5.9%)であった。IEのリスク評価として、NOVA、DENOVA、HANDOCが検討された。IE診断において、NOVAは感度100%、特異度15%、HANDOCとDENOVAは感度はそれぞれ97%・91%で、特異度は85%・90%だった。


IEの予測因子は、症状が7日以上、人工弁の存在、IEの既往、心雑音、塞栓症、1菌種のみの検出、感染focus不明(IE vs non-IEで100% vs 77%)など。limitationは、後ろ向き研究であること、全体のTEEの施行率が低いこと(一部のIEを見落としている可能性がある)、など。

 

これらの菌が血液培養から検出された場合、IE検索は必要であり、DENOVAまたはHANDOCを使用してTEEの適応を検討する。Abiotrophia菌血症の場合、IE率が高いため、TEEをroutineに行ってもよいかもしれない。

 

 

 

 

Risk for Endocarditis in Bacteremia With Streptococcus-Like Bacteria: A Retrospective Population-Based Cohort Study
Open Forum Infectious Diseases, Volume 6, Issue 10, October 2019, ofz437, https://doi.org/10.1093/ofid/ofz437
https://academic.oup.com/ofid/article/6/10/ofz437/5580803