General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

母親のキノロン使用と子供のキノロン耐性グラム陰性桿菌による細菌尿

【母親がキノロン内服が、子供のキノロン耐性GNRによる細菌尿と関連した】

 

inclusion criteriaをみたしたグラム陰性桿菌による細菌尿のあるすべての小児(0.5-17歳)を対象とした。除外されたのは、過去(尿培養採取前)30日以内に入院歴がある場合、過去6か月以内の本人またはその母親の抗菌薬使用歴が不明な場合、過去6か月以内にキノロンを内服している場合、過去6か月以内に1週間以上の入院をしている場合など。イスラエルで行われた研究。

 

キノロン系抗菌薬耐性のグラム陰性桿菌が尿培養から検出された小児と、感受性のあるグラム陰性桿菌が検出された小児で比較。小児の尿培養からキノロン系抗菌薬に耐性のグラム陰性桿菌が検出されるリスク因子は、母親のキノロンの使用、小児への2回以上の抗菌薬処方、であった。

 

limitation:交絡因子の検討が不十分(渡航歴、家族の人数、食生活の特徴)、無症候性細菌尿を含んでいる可能性があるので、耐性菌による尿路感染症の割合が増加とまでは言えない(ただし、小児で尿培養を採取する場合は、ほとんどの場合症候性だと思われる)など。

 

結論:母親がキノロンを消費した場合、その子供の尿培養からキノロン耐性グラム陰性桿菌が検出される可能性が上がるかもしれない。

 

 

 

Quinolone Consumption by Mothers Increases their Children’s Risk of Acquiring Quinolone-Resistant Bacteriuria
Clinical Infectious Diseases, ciz858
https://doi.org/10.1093/cid/ciz858https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciz858/5556473?searchresult=1