General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

セフタジジム/アビバクタムは、カルバペネム耐性GNR感染症に対して単剤使用可能

【セフタジジム/アビバクタムは、カルバペネム耐性GNR感染症に対して単剤使用可能】

 

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌または緑膿菌による感染症に対する、セフタジジム/アビバクタム単剤、または、他剤との併用治療、の効果を比較した研究のメタ解析。11つの後ろ向き研究が対象となった。これまでの報告はすべて規模が小さく、100例に満たないものがほとんどである。

 

全部で396例。対象となった感染症は、肺炎105例、菌血症202例、腹腔内感染症65例、尿路感染症55例、皮膚軟部組織感染症33例。併用群で使用された併用薬剤は、コリスチン、チゲサイクリン、アミノグリコシド、ホスホマイシン、シプロフロキサシンであった。ほとんどが腸内細菌科細菌(緑膿菌は少数:19例のみ)。カルバペネム耐性機序は、KPCが198例、OXA-48が102例、不明が96例。

 

併用治療群のmortality rate 38.1%、単剤治療群30.9%で同等。緑膿菌感染症を除外した場合でも、同様の結果(2群間で治療効果の差なし)であった。セフタジジム/アビバクタムの耐性菌の出現は、併用治療群で3.1%、単剤治療群で4.1%であった。

 

limitation:対象としたすべての研究が後ろ向き研究であり、biasが非常に大きいいと考えられる。前向き観察研究、RCTなどが望まれる。緑膿菌による感染症は、ほとんど含まれていないため、より判定は難しい。

 

結論:セフタジジム/アビバクタム(ceftazidime-avibactam)は、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌による感染症に対して使用する場合、単剤で使用可能な可能性が高い。標的治療として、併用治療を積極的に推奨する根拠に乏しい(経験的治療であれば、想定されるセフタジジム-アビバクタムでカバーできない耐性菌カバーのための併用は考慮される、アシネトバクターが想定される場合など)。

 

 

 

EFFICACY OF CEFTAZIDIME-AVIBACTAM IN MONOTHERAPY OR COMBINATION THERAPY AGAINST CARBAPENEM RESISTANT GRAM NEGATIVE ORGANISMS: A META-ANALYSIS.
Int J Antimicrob Agents. 2019 Aug 31.
doi: 10.1016/j.ijantimicag.2019.08.025
PMID: 31479738
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0924857919302432

 

 

 

※日本にはない薬剤、かつ、カルバペネム耐性といっても、いろいろな細菌、いろいろなβラクタマーゼ(その他の耐性機序もあり)、があるので、新規薬剤が、どこまでカバーしているかわかりにくい。以下を参考にするとよいかもしれない。

 

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Ceftazidime/Avibactam, Meropenem/Vaborbactam, or Both? Clinical and Formulary Considerations.
Clin Infect Dis. 2019 Jan 18;68(3):519-524.
doi: 10.1093/cid/ciy576.
PMID: 30020449
https://academic.oup.com/cid/article/68/3/519/5055391

 

 

Ceftazidime-avibactam (Avycaz)、Ceftolozane-tazobactam (Zerbaxa)、Meropenem-vaborbactam (Vabomere)の3剤を比較・解説している。

https://www.idstewardship.com/comparison-avycaz-vabomere-zerbaxa/