MRSA肺炎の治療:バンコマイシンとリネゾリド以外の選択肢は?
【MRSA肺炎の治療で、VCM/LZDが使用できない場合は、ST合剤→CLDM→Mino】
MRSA肺炎におけるST合剤、CLDM、Doxy、Minoの治療効果についての総説。
ST合剤は比較的研究されているが、2つのRCTでは、標準治療(VCM、LZD)より劣っている可能性が示されている。観察研究では、同等程度の効果を認めたものもある。投与量は報告によって様々であり、日本の製剤(single strength)では、4-8錠/日。
CLDMは小児のMRSA肺炎における小規模な観察研究があるが、その他の薬剤と併用しているものが多く、CLDM単独の効果ははっきりしない。また、CA-MRSAの毒素(PVL)産生抑制目的で使用された症例報告もある。
Doxycyclineは研究されていない。Minocyclineは、小規模な観察研究が2つあるのみ。
【結論】
どの抗菌薬も、MRSA肺炎の治療における役割ははっきりしない。薬剤感受性があり、バンコマイシンとリネゾリドが何らかの原因(アレルギー・副作用・薬物相互作用)で使用できない場合に、考慮することはできる。
順番としては、ST合剤→CLDM→Mino→Doxyがよいと思われる。
Ann Pharmacother. 2019 Jun 10:1060028019856721.
doi: 10.1177/1060028019856721
PMID: 31177803