General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

入院を必要とする蜂窩織炎の治療期間

【入院を必要とする蜂窩織炎の治療 6日間 vs 12日間:前者で再燃が多い】

 

蜂窩織炎の抗菌薬投与期間を、6日 vs 12日で比較。オランダで行われた、多施設、非劣勢、無作為比較試験。対象は、入院を必要とした成人の蜂窩織炎患者(血液培養陰性、85%程度が下肢蜂窩織炎)。フルクロキサシリン静注で治療開始し、主治医の裁量で経口クロキサシリンに変更(静注薬の使用期間の中央値は両群とも3日間)。6日目の時点で、症状が改善傾向で、解熱している患者を、placeboまたは経口クロキサシリンで6日間治療。もともと各群158名が非劣勢証明のために必要と計算されたが、実際に無作為化されたのは149名。Primary outcomeは、28日目までに再燃なしの14日目の治癒率。Secondary outcomeは、90日までの再燃。対象者は151名。Primary outcomeは、6日治療群49.3%、12日治療群50%で同等(ただし、非劣勢は証明できなかった)。「cure」の基準を(やさしめに)修正した場合、6日治療群で67%、12日治療群で74%だった。Day 28時点で治療成功した患者を対象とした場合、28日から90日目の間の再燃は、6日治療群24%、12日治療群6%で、有意に6日治療群で多かった。

 

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解釈:sample sizeが足りていないため、6日間の治療で十分なのかどうか判定できない。ただし、90日以内の再燃が大きいことを考慮すると、入院を必要とする蜂窩織炎を6日で治療終了とするのは早いのかもしれない。ただし、静注抗菌薬がわずか3日間しか投与されていないことにも注意が必要である。5-7日の静注抗菌薬のあと、発赤が消失するまで内服抗菌薬を投与する、という一般的に行われているであろうpracticeであれば、12日の治療は不要かもしれない(10日程度?)。

 

 

Antibiotic treatment for 6 days versus 12 days in patients with severe cellulitis: a multicentre randomised, double-blind, placebo-controlled, non-inferiority trial.
Clin Microbiol Infect. 2019 Oct 13.
pii: S1198-743X(19)30504-X
doi: 10.1016/j.cmi.2019.09.019

https://www.clinicalmicrobiologyandinfection.com/article/S1198-743X(19)30504-X/fulltext