市中肺炎に対する副腎皮質ステロイドの使用への注意喚起
【市中肺炎に対する副腎皮質ステロイドの使用への注意喚起:集中治療を要しない非重症肺炎で使用すべきではない】
以下、重要な点を列挙。
・市中肺炎に対するステロイドの効果を検討したメタ解析は複数報告されている
・重症市中肺炎で死亡率を低下させるが、「重症」の適宜が研究によって様々である
・非重症市中肺炎では死亡率を改善させない
・集中治療を必要としない市中肺炎において、ステロイドの効果は証明されていない
・メタ解析で採用されている報告の中で、死亡率の改善に寄与している報告は、小規模かつ研究デザインに問題の大きい無作為比較試験である。
・ステロイドを使用すると抗菌薬投与期間が短縮する可能性がある
・ステロイドを使用すると入院期間が短縮する可能性があるが、それを示した研究の入院期間は7日以上であり、標準的な米国やオーストラリアの入院期間より長い
・ステロイドの使用によって肺炎球菌感染症の治療失敗が増えることを示した観察研究がある
・ステロイドの使用によって高血糖の頻度が上昇する可能性がある
・ステロイドの使用によって、インフルエンザによる重症肺炎の予後は悪化する
【結論】
・非重症市中肺炎で、ステロイドは使用しない
・ICU入室する重症肺炎の治療では、ステロイドの使用を考慮する
Corticosteroids for community-acquired pneumonia - overstated benefits and understated risks
Chest. 2019 Jul 6.
doi: 10.1016/j.chest.2019.06.017
PMID: 31287999
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012369219313091?via%3Dihub