緑膿菌菌血症の標的治療は、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムで治療成績に差はない
【緑膿菌菌血症の標的治療において、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムの治療成績は同等であった】
767名のβラクタム系抗菌薬単剤で治療された緑膿菌菌血症の患者を対象として、使用抗菌薬別の30日死亡率を検討した後ろ向きコホート研究。9か国25施設で実施された。標的治療(definitive therapy)を評価した研究であり、経験的治療の内容は問わなかった。標的治療の条件は、培養提出して最初の1週間以内に、72時間以上単剤で投与したもの。併用治療は48時間以内であれば許容された。
対象者は、約50%が院内発症で、3群とも同程度。カルバペネム群は、血液培養が採取された時点でICU入室中の患者の割合が有意に高く、A lineとNG tubeが留置されている患者も多かった。セフタジジム群は、化学療法施行中、好中球減少症が有意に少なく、comorbidity indexとSOFA scoreが、他の2群と比較して低かった。
【結果】
セフタジジム、カルバペネム(約80%がメロペネム、約20%がイミペネム/シラスタチン)、ピペラシリン/タゾバクタムで治療成績(30日死亡率、治療失敗、微生物学的失敗、副作用)は同等だった。3群とも死亡率は20%弱だった。多変量解析でも、標的治療の抗菌薬選択は、死亡率と関連を認めなかった。
抗緑膿菌活性のある抗菌薬に対する耐性の出現は、カルバペネム群で多かった(カルバペネム群17.5%、セフタジジム群12.4%、ピペラシリン/タゾバクタム群8.4%)。どの抗菌薬に耐性化したのか、詳細な記載はない。
多変量解析で30日死亡率のリスク因子であったのは、院内発症、もともと寝たきり、転移のある固形癌、90日以内の入院、Charlson score高値、SOFA score高値であった。
【Limitation】
今までの報告よりも大規模なものであるが、後ろ向き研究であるため、3群のbaselineが同等ではない可能性が高い。最終結論を出すには、前向き無作為比較試験が必要である。
【結論】
後ろ向き研究ではあるが、緑膿菌菌血症の標的治療は、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムの治療成績は同等であり、カルバペネムを使用した場合、その後、耐性化した緑膿菌が検出されやすくなる可能性がある。よって、標的治療には、カルバペネム以外の抗菌薬を選択したほうがよい。
Ceftazidime, carbapenems, or piperacillin-tazobactam as single definitive therapy for Pseudomonas aeruginosa bloodstream infection - a multi-site retrospective study
Clin Infect Dis. 2019 Jul 17.
doi: 10.1093/cid/ciz668
PMID: 31323088
https://academic.oup.com/cid/advance-article-abstract/doi/10.1093/cid/ciz668/5533273