General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

フルオロキノロン系抗菌薬の添付文書の「警告」の改訂だけでは、処方行動に影響はあまり与えない

【フルオロキノロン系抗菌薬の添付文書の「警告」の改訂だけでは、処方行動に影響はあまり与えない】

 

FDAが2016年にすべてのフルオロキノロン系抗菌薬の添付文書の「警告」に不可逆的な副作用について追記した。米国の家庭医への影響を調査した観察研究。

 

「警告」の改訂前後の単純性膀胱炎に対するフルオロキノロン系抗菌薬(主にシプロフロキサシン)の処方量は変わらなかった(改訂前38%、改訂後30%で、統計学的有意差は認めなかった)。

 

耐性菌の情報の記載はないが、治療失敗率は非フルオロキノロン系抗菌薬で約10%、フルオロキノロン系抗菌薬で約6.5%であった。添付文書の改訂だけでは、処方行動に影響を与えなかった。さらなる周知と教育が必要と考えられた。

 

 

Evaluation of FDA Boxed Warning on Prescribing Patterns of Fluoroquinolones for Uncomplicated Urinary Tract Infections
https://doi.org/10.1177/1060028019865224

https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1060028019865224?journalCode=aopd