General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

便移植による多剤耐性菌の伝播

【便移植による多剤耐性菌の伝播に注意喚起】

 

便移植(Fecal Microbiota Transplantation)によって、多剤耐性菌による重篤感染症が起こる潜在的リスクについて、FDAから注意喚起ありました。C. difficile感染症の治療のひとつで、標準的治療が無効の場合に考慮されるものです。日本では行われていない治療です。今回問題となったのは、同じドナーから移植されたレシピエント2名においてESBL産生E. coliによる侵襲性感染症が起こり、1名が死亡してしまったことです。

ドナーの多剤耐性菌保有リスクを評価すること、移植する便に多剤耐性菌が含まれていないかどうか確認することが、求められています(むしろやっていなかったことがびっくりですが...)。

 

 

 

 

Important Safety Alert Regarding Use of Fecal Microbiota for Transplantation and Risk of Serious Adverse Reactions Due to Transmission of Multi-Drug Resistant Organisms
https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/safety-availability-biologics/important-safety-alert-regarding-use-fecal-microbiota-transplantation-and-risk-serious-adverse