General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

細菌

βラクタム系抗菌薬で治療中の腸内細菌科細菌の形態

K. pneumoniaeによる持続菌血症(骨髄炎)をertapenemで治療中に採取した血液培養のグラム染色像。K. pneumoniaeだが、中央部が膨らんだグラム陽性桿菌に見える。 Morphological changes induced by β-lactam antibiotics observed on Gram stainingClin Mic…

黄色ブドウ球菌菌血症の治療期間 その2

【複雑性SABの治療期間は2週間以上必要、非複雑性SABは2週間以内でよい】 目的:S. aureus bacteremia(SAB)の死亡率と再燃率への治療期間の影響を評価する。 方法:単施設の後ろ向きコホート研究。18歳以上のSAB患者で、治療期間(14日間以内と14日間以上…

黄色ブドウ球菌菌血症の治療期間 その1

【複雑性SABの治療期間は、4週間以上がよい】 方法:「長期治療が必要な因子の存在」と「実際の治療期間」によってS. aureus bacteremia(SAB)の治療成績がどのように影響を受けるか前向きに検討した韓国の研究。長期間治療に関連する要素である持続菌血症…

腸内細菌科細菌による血流感染症で早期にde-escalationするとCDIが減少する

【腸内細菌科細菌による血流感染症の治療において、抗緑膿菌活性のある抗菌薬を早期de-escalationすることによってCDIのリスクが減少する】 要旨:腸内細菌科細菌菌血症に対して48時間以上抗緑膿菌活性のあるβラクタム系抗菌薬を投与された入院患者は、48時…

zone edge testについてのメモ

S. aureusのペニシリン感受性を調べるための検査であるzone edge testについてのメモ(なぐり書き)です。興味ある人は、原著にあたってください。blaZ、PSSA、CLSI、EUCASTなど感染症領域の人以外には見慣れない用語が多くなっていますが、ご了承ください。…

Enterobacter肺炎に対するPIPC/TAZは、標的治療の選択肢のひとつとなるかもしれない

【導入】 Enterobacter spp.は院内肺炎の主要な原因菌のひとつである。カルバペネム系抗菌薬が第1選択薬であるが、薬剤耐性菌の増加に伴いカルバペネム温存が求められている。セフェピムは、カルバペネムと同等の効果が示されてきた。ピペラシリン/タゾバク…

市中発症の緑膿菌菌血症は死亡率30%程度で、来院時の重症度と不適切な経験的治療が死亡率の上昇と関連する

【市中発症の緑膿菌菌血症は死亡率30%程度で、来院時の重症度と不適切な経験的治療が、死亡率の上昇と関連する】 内容:市中発症の緑膿菌による血流感染症のpredisposing factorと不適切な経験的抗菌薬治療の死亡率への影響を検討したsystematic reviewとメ…

緑膿菌菌血症の標的治療は、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムで治療成績に差はない

【緑膿菌菌血症の標的治療において、セフタジジム、カルバペネム、ピペラシリン/タゾバクタムの治療成績は同等であった】 767名のβラクタム系抗菌薬単剤で治療された緑膿菌菌血症の患者を対象として、使用抗菌薬別の30日死亡率を検討した後ろ向きコホート研…

ESBL産生腸内細菌科細菌による感染症の治療(CMIのNarrative review)

【ESBL産生腸内細菌科細菌による感染症の治療についての総説】 Current options for the treatment of infections due to extended-spectrum beta-lactamase-producing Enterobacteriaceae in different groups of patients(Clin Microbiol Infect. 2019;25…

経口バンコマイシンの予防投与は、CDIの発症率を低下させなかった

【150日以内のCDI既往のある患者が入院して全身抗菌薬を投与された場合、経口バンコマイシンを同時に投与しても、90日以内のCDI発症は減少しなかった】 CDIと診断された後、150日内に入院して1回以上の抗菌薬投与が行われた患者を対象として、予防的経口バン…

E. faecalis IEの治療における、PCGとCTRXによる併用治療の可能性

Enterococcus faecalisによる感染性心内膜炎の治療として、アンピシリンとセフトリアキソンの併用治療がある。 しかし、アンピシリンは生理食塩水に溶解した場合、安定性に欠けるため、OPAT(外来での静注抗菌薬治療)では使用できない。ペニシリンGは、OPAT…

Enterococcus faecalis感染性心内膜炎の総説

要点です ・Enterococcus IEの97%は、E. faecalis・E. faecalisは、E. faeciumより高率にbiofilmを形成(90% vs 20%)・βラクタム系抗菌薬単剤は、E. faecalisに対して「殺菌的」効果がない・E. faecalis IEで、PCG or ABPC単剤治療を行うと、高率に治療失敗…