General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

体格によってバンコマイシンの投与量を調整する必要がある

【日本人の肥満患者に対するバンコマイシンの1回投与量は、15mg/kgでは多い可能性がある】

 

方法:バンコマイシンの至適投与量と体格の関連を検討した観察研究。やせ型(BMI<18.5)、標準型、肥満型(BMI≧25)に分類して、バンコマイシンの至適投与量を後ろ向きに検討。研究対象は、18歳以上で、1日2回投与、eGFR≧60、目標trough 10-20 µg/mLなどの条件を満たした患者。体重は、実体重を使用した。

 

結果:対象は272名。目標trough 10or15-20 µg/mL(abstractには15、本文には10と記載されている)を達成するために必要なバンコマイシンの1回投与量は、やせ型19.8 mg/kg、標準型16.5 mg/kg、肥満型 13.7mg/kgであった。

 

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結論:腎機能が正常な成人のバンコマイシンの1回投与量は、やせ型であれば20mg/kg、標準型であれば15mg/kg強、肥満であれば15mg/kg未満、がよい。特に肥満患者の場合、過剰投与に注意する必要がある。

 

 

 

Evaluation for optimal dosing of vancomycin in patients with different physical types
J Infect Chemother. 2019 May 21.
doi: 10.1016/j.jiac.2019.04.017.
PMID: 31126752

https://www.jiac-j.com/article/S1341-321X(19)30121-7/fulltext