General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

医療従事者のCOVID-19の報告(30例)

[Clinical characteristics of 30 medical workers infected with new coronavirus pneumonia].

Zhonghua Jie He He Hu Xi Za Zhi. 2020 Feb 17;43(0):E016. doi: 10.3760/cma.j.issn.1001-0939.2020.0016. [Epub ahead of print]

http://rs.yiigle.com/yufabiao/1181989.htm

 

※abstractのみ英語あり

※本文は中国語(google翻訳で英語/日本語にして読みました)

 

2020.1.10-1.31にCOVID-19で入院したすべての医療スタッフ30名を後ろ向きに解析した研究(江漢大学附属病院 in 武漢)。2020.1.10に1人目の医療者の感染が起こってから、感染対策を強化した(ガウン、キャップ、N95、手袋、ゴーグル、手指衛生の徹底。患者とその家族はマスクを着用)。

 

結果:感染した医療従事者(医師22名、看護師8名)は、マスクの使用なし(8名)、マスクを不適切に使用(6名)、気管挿管の際にキャップなし、患者のマスク使用なし。症状、血液検査結果、画像異常はこれまでのCOVID-19の報告と同様。感染した医療従事者は全員、COVID-19患者への直接曝露歴(1m以内)あり。接触数は1-28回(平均12回)、平均累積曝露時間2時間。重症肺炎に罹患した医療従事者は、曝露回数が多い、累積曝露時間が長い、BMI高い、発熱期間が長い、WBC、AST、ALT、LDH、D-dimerが上昇、リンパ球数とアルブミンは低下。死亡なし。2020.1.21以降(感染対策を強化してから10日後)、感染者は減少し(15名 vs 11名:1.24以降は1名のみ)、重症例も少なかった(21% ve 13.3%)。

 

解釈:院内感染を防ぐためには、標準予防策、飛沫予防策、接触予防策、咳エチケットの徹底が重要である。曝露が多いはずの看護師より医師の感染者が多かった理由は、標準予防策を順守していなかったからかもしれない。