General-IDのブログ

神戸で感染症内科医をやっています。日々勉強したことを共有しています。基本的に、感染症に関連した内容です。所属施設の公式見解ではありませんので、その点はご了承ください。

COVID-19の初診時の胸部CTとPCR(主に咽頭スワブ)の感度を検討(感度98% vs 71%)

Sensitivity of Chest CT for COVID-19: Comparison to RT-PCR

 

https://doi.org/10.1148/radiol.2020200432

2020.2.19にpublished online

 

初診時の胸部CTとPCR(主に咽頭スワブ)の感度を検討

・後ろ向き研究

 

・診断は、SARS-CoV-2のPCR陽性(陰性例は1日以上あけて繰り返し検査)

・連続したCOVID-19(全例肺陰影あり)51を検討、浙江省

・45例は咽頭スワブPCR、6例は喀痰PCRで診断

 

・発症からCT撮影まで:平均3日(±3)、発症からPCR施行まで:平均3日(±3)

 

・15/51例は、初診時PCR陰性→12例は1-2日後、2例は2-5日後、1例は7日後に陽性

・35/51例は、初診時PCRとCTがともに陽性

・1/51例で、初診時CT陰性、PCR陽性(3日後にCTで肺陰影指摘)

 

初診時(発症から3日程度)のCT:感度98%PCR:感度71%

 

・典型的画像(末梢優位で胸膜下のGGOで、下葉のことが多い):72%

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上:発症から5日目、下:発症から7日目

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上:発症から7日目、下:発症から5日目

・非典型的画像:28%

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上図:発症から3日

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上図:発症から1日

 

・解釈:発症から3日程度のごく早期のCOVID-19では、胸部CTのほうが咽頭スワブPCRより感度が高い可能性がある(感度98% vs 71%)。症状・曝露歴などからCOVID-19が疑われる状況では、CTの閾値は低くてもよいかもしれない。ただし、ほとんどの初診時PCR陰性例は、2日以内に陽性化しているため、発症から5日以上経過した症例では、差はない可能性が高い。